佐藤正樹 Masaki Sato

P/SC/SR6/09, 2023, oil and acrylic on canvas, 84.5×104cm

「私たちは全てを知ることが出来ない、

だから何度でも知ることが出来る」

Created 2014

佐藤正樹は1980年岩手県生まれ、美術大学などでの教育を経ず独学で美術表現を追求し、現在は東京を拠点に制作を続けています。彼のインスタグラムの最初の投稿は2015年ですが、それより以前からまるで日記のように「ある形」を様々な方法で描き発表を続けています。

Created 2017

佐藤の作品に使われる素材は、絵の具とキャンバスのみならず、白いジェッソのようなものや道に落ちている花、タイルや木片やワイヤーなど多岐に渡りますが、注目されるのはそれぞれの素材への丁寧な接し方です。色彩や異なる素材の組み合わせや、例えば絵の具の盛り上げ方一つとっても全てに神経が行き届いている、または思考が張り巡らされているように感じられます。

イメージとある形達
2021

素材の雄弁さとは裏腹に、作家自身の話す言葉は極めてシンプルです。本稿のタイトルにもなっている「私たちは全てを知ることが出来ない、だから何度でも知ることが出来る」は佐藤のコンセプトを端的に表しています。特定の意味や価値を持たない台形とも平行四辺形とも言い難い奇妙な四角形「ある形」を用いて、限りなく無限に近い思考のバリエーションを産み出すのです。

MAR.2020
2020
oil on canvas
27.3×22cm

JAN.2020
2020
oil and acrylic on canvas
27.3×22cm

フォーマリズム、ネオ・ジオ、もの派、具体といった細分化され時には形骸化された概念をより確かなものたらしめる佐藤の作品は、その無限のバリエーションによって膨張し続け日々新しい宇宙を創ることになるでしょう。これこそがアートの根源的な力なのではないかと思わずにはいられません。

2025年 6月 AISHO

Light and shadow on a certain shape/Nov.03
2021
oil and acrylic on canvas panel
32×41cm